2019年11月21日
国際学会でポスター賞を受賞しました

 令和元年10月24日~26日にThe International University - Vietnam National University of Ho Chi Minh City(ベトナム)で開催された国際学会、2nd The International Conference on CELL REPROGRAMMING AND REPRODUCTIONにおいて、大学院博士課程統合応用生命科学専攻博士1年の風間晃輔さん(指導教員: 若山照彦教授、大我政敏助教、若山清香助教、藤本由佳特任助教)と大学院修士課程生命環境学専攻バイオサイエンスコース1年の松本沙知さん (指導教員: 岸上哲士教授、望月和樹教授、渡辺連助教)がポスター賞を受賞しました。

 風間さんの発表テーマは「Identification and correction of epigenetic abnormalities in male pronuclei of mouse ROSI-zygotes (マウスROSI胚の雄性前核におけるエピジェネティックな異常の同定とその修正)」です。ROSIとは、未熟な精子を使って胚を作製し、子供を作ることが出来る技術です。現在、未熟な精子しか作ることができない男性のための不妊治療で最後の頼みの綱として利用されています。しかし、通常の成熟した精子を使う体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)に比べ成功率が低く、その原因はわかっておらず、あまり普及していないのが現状です。また、ROSI胚における遺伝子の機能を制御するヒストンの化学修飾(エピジェネティクス)については、異常を示す修飾が一種類だけ報告されているのみに留まり、あまり詳細はわかっていませんでした。今回風間さんは、ROSI胚について多数のヒストンの化学修飾について調査し、IVF胚やICSI胚と変わらない正常なものもある一方で、異常な化学修飾が複数起こっていることを同定しました。続いて、これらのROSI胚におけるエピジェネティクス異常を、エピジェネティクスの改変剤であるTSA処理によって、修正出来るかを調べたところ、修正できる異常もあった一方で、一部の異常を亢進してしまう効果もあることを報告しました。本研究成果は、今後の不妊治療の技術向上に貢献できることが期待されます。
 一方、松本さんの発表テーマは「Effect of treatment of embryos with (+)JQ1 on preimplantation development in mice (マウス着床前胚発生における(+))JQ1処理の影響)」です。ブロモドメインタンパク質の一つであるBrd4(Bromodomain-containing protein 4)は、これまで遺伝子のノックアウトやノックダウンを用いた手法により将来胎児になる内部細胞塊の遺伝子発現に重要な因子であることが明らかにされていました。今回松本さんは、(+)JQ1というBrd4の特異的阻害剤を用いて、マウス体外受精胚(IVF胚)の着床前発生の3日間において阻害を開始するタイミングや阻害時間を任意に変え着床前胚にどのような影響をもたらすか検証しました。その結果、阻害するタイミングによりBrd4には内部細胞塊の遺伝子発現だけではなく、新たな表現型として細胞極性に影響を及ぼすことを発見し今回の学会で報告しました。本研究成果は、これまで知られていないBrd4因子の着床前胚の発生における新たな役割を示唆するものであり、さらに詳細にそのメカニズムの解明することで発生の仕組みを理解する新しい知見になることが期待されます。
 以上の2つの研究は、山梨大学の発生工学技術開発・実践特別教育プログラムの支援を受けています。

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                                                           受賞の様子(右が風間さん)

 
                                             
                                                     受賞の様子(右が松本さん)
 
                                     
              受賞の様子(左から3番目が風間さん、4番目が松本さん)

 


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