2019年08月02日
大山拓次 准教授 科学技術振興機構「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)」に採択

 【概要】大山拓次准教授の研究課題「難溶性リガンドを用いた創薬に向けたハイスループット結晶構造解析法の開発」が、国立研究開発法人科学技術振興機構の「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)」機能検証フェーズの「試験研究タイプ」に採択されました。

 【難溶薬剤との複合体構造解析に必要なゲル内タンパク質結晶化】立体構造に基づく創薬(SBDD: Structure-Based Drug DesignやFBDD: Fragment-based drug design)では、X線結晶構造解析法を用い、標的タンパク質と候補化合物の複合体の立体構造を網羅的に決定します。肺がん治療薬イレッサや抗インフルエンザ薬タミフルなどの開発では、特にSBDD/FBDDが威力を発揮したといわれています。クスリが生体で機能するには脂溶性(難溶性)部位が必要ですが、タンパク質結晶化は水溶液中で行うため、難溶薬剤に関する網羅的構造解析は未だ困難な技術課題として残されています。そこで本研究では、抗糖尿病薬の標的である核内受容体PPARタンパク質を研究材料とし、多くの難溶性の治療薬候補化合物との複合体結晶構造を、新規の方法により網羅的に決定する技術開発を目指します。開発のカギは、タンパク質結晶を固相ハイドロゲル(アガロースゲル)内で作成することです。アガロースゲル内でタンパク質の結晶化に成功すれば、結晶が化学的ショックに強くなります。難溶化合物を取り扱うには高濃度の有機溶媒にそれらを溶かす必要がありますが、水溶液内で作成した結晶は有機溶媒に接触するとたちまち溶けてしまいます。一方、アガロースゲルに包埋された状態の結晶であれば、有機溶媒によるショックに耐えると期待されます。それにより、水溶液中では実質不可能であった難溶性化合物との複合体の結晶構造解析が可能となります。
 
 【ハイスループット構造解析を目指して】創薬の現場では、一つのクスリを開発するにあたり、標的タンパク質への結合状態を調べるべき候補化合物は、数百から数千、あるいはそれ以上にわたることがあります。したがって、多くの構造をハイスループットに決定していく必要があります。そこで、96ウェルプレートに代表されるマルチウェルプレート上にアガロースゲル包埋されたタンパク質結晶をたくさん作成し、同時進行で多数のタンパク質-リガンド複合体結晶を調製し、難溶性化合物群の結合状態を次々と決定できる手法の開発を目指します。


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