将来的に地域課題の解決を学生自らの手で実践するために、本年度前期から山梨県内外の事例の探索とともに調査を行ってきました。「地域PBL演習Ⅲ」では、そうした前期授業の総まとめとして、特に魅力的で学ぶべき成功事例についての現地視察を令和7年9月8日(月)~10日(水)、二泊しながら3日に渡って実施しました。
視察先は授業の中で検討を繰り返し、「徳島県の上勝町と神山町」、「香川県の丸亀商店街」に決まりました。そこから現地の施設などのアポイント取りから移動手段、宿泊、旅程に至るまで、学生主体ですべての視察プランを組み立てています。大人の手を借りずに交渉から始まり、すべての段取りを整えたことは、学生たちにとって大きな自信となりました。
今回訪ねた事業施設は、いずれも行政や自治体ではなく地域住民が主体となって動いた結果生まれた業態であり、深刻な地域課題を改善に導いた革新的な民間団体です。
・過疎化・高齢化が進む地域で、経済活性化と高齢者の生きがいを創出、健康寿命を延ばすことにも成功した葉っぱビジネスの「彩(いろどり)事業」(徳島県上勝町)。
・ゴミ処理対策としてゼロ・ウェイスト宣言を取り入れ、ゴミの分別、再利用、教育、地域再生を体系的に結びつけた環境型複合施設「ゼロ・ウェイストセンター」(徳島県上勝町)。
・日本の田舎をステキに変える!をミッションとし、 過疎を前提とした創造的過疎という考え方で、アートや環境保全、移住促進、教育、働き方改革など多角的な取り組みにより、画期的な地域づくりを行っている「グリーンバレー」(徳島県神山町)
・衰退した中心市街地を、住む、働く、集う複合市街地へと統合・再生。設計からスキーム、財源戦略を体系的にまとめて実現した先進的な“まちづくりモデル”「高松丸亀町商店街」(香川県高松市)。
学生たちは与えられた3日間で、以上の事業施設における現場での交流と対話を通して見聞を広げ、自らの目線で課題と解決策を把握し捉えることで学びを深めました。
その後の振り返り成果レポートでは、それぞれの解釈で考察が論じられると同時に、「実際に足を運ばなければ知ることができない多くの発見があった」、「今後の人生を考える上で、とても良い経験になった」など、体験に基づく心からの感想が含まれていたのが印象的でした。