生命工学科の永松剛教授(生殖細胞発生研究室)らの研究グループは、生命の永続性を担う卵母細胞の制御機構としての圧縮圧力の作用メカニズムを明らかにしました。
哺乳類の卵母細胞は胎児期に減数分裂へと移行するため出生後は増えることがありません。限られた数の卵母細胞を原始卵胞という状態で保持しながら、一部を活性化することで卵子形成を維持しています。原始卵胞の静止期と活性化の制御機構は生殖寿命に直結する重要な問題でありますが、未だ不明の点も多く残されています。これまでに研究グループは、この原始卵胞の静止期維持に圧縮圧力が作用することを世界に先駆けて報告していました(Nagamatsu G et., Al. Sci Adv. 2019)。本研究では、圧縮圧力の作用機序の解明を行い、圧縮圧力は周囲の顆粒膜細胞ではなく卵母細胞に直接作用し、卵母細胞における c-Kit 受容体の細胞内凝集体の形成を促進することで顆粒膜細胞からのSCF のシグナルを阻害して静止期を維持していることを明らかにしました。独自開発の加圧ライブイメージングシステムを確立することで、卵母細胞に圧縮圧力が作用する様を直接観察することにも成功しています。この成果は、生殖期間の制御の可能性を示しており、将来的な不妊治療への応用が期待できます。
本研究成果は令和8年1月12日15時(米国東部時間)に国際学術雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されました。なお、本研究は文部科学省科研費JP23K18137、JP24H02040、JST 戦略的創造研究推進事業 さきがけJPMJPR2286の支援を受けました。
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