【研究テーマ】有用微生物の探索技術の開発と生態学的研究

山梨大学 生命環境学部 生命工学科
准教授 山村 英樹
ホームページ http://www.ab11.yamanashi.ac.jp/ABF/No1/hayakawa/index.html

 

有用微生物資源の探索・育種と有効利用
 
山梨大学 工学部 生命工学科担当
助教 山村 英樹 :hyamamura@yamanashi.ac.jp
助教 中川 洋史 :youji@yamanashi.ac.jp
 
有用微生物は発酵食品や医薬品、廃棄物処理といった様々な産業で人々の生活に大きく貢献しています。私達は微生物の中でも抗生物質などの生産例が非常に多い「放線菌」と食品産業には欠かせない「酵母」に着目し、その機能を解明、改良することによって発酵産業に貢献する事を目指しています。
 
1、有用物質を生産する新しい放線菌の分離方法を開発する
 放線菌はバクテリアの仲間で菌体の形が糸状になるため、このように呼ばれています。この放線菌には抗生物質や有用酵素などを生産する種類が沢山あり、新しい抗生物質や有用酵素の発見が期待されています。
 放線菌の多くは土壌から分離されますが、土壌には他の多くのカビや細菌が一緒に生息しています。その中から放線菌を選択的に分離することは大へん困難なことですが、さらに分離数が少ない「希少放線菌」を選択的に分離する方法の開発に我々は取り組んでいます。
 
2、新種の発見、そしてゲノムの解明へ
これまでに当研究室で分離された希少放線菌から約40種の新種が発見され、微生物分類学分野で権威ある学術誌「IJSEM」に新種の名前を記載しています。また、Actinoplanes属という運動性にもつ放線菌のゲノム情報を解明するプロジェクトにも携わっています。ゲノムとは生物のもつ遺伝子(遺伝情報)の全体を示す言葉であり、このゲノム情報を利用して遺伝子レベルで抗生物質生産や運動メカニズムの解明を行っています。
 
3、放線菌を用いた植物栽培への応用
 放線菌の中には植物と共生し、植物の成長を促進させるような特徴を持っている菌がいます。例えば、ある種の放線菌は根に定着し、植物ホルモンや抗生物質を生産することで共生していると考えられています。そこで、私たちは将来の食糧危機に備え、放線菌のこの能力を利用した新規水耕栽培の開発に着手しています。この他に、畑にはセンチュウという非常に厄介な害虫がいます。このセンチュウはトマトなどの根に寄生して、生育を著しく阻害します。このセンチュウに対抗するための放線菌を自然界から見つけ、応用する事で健康的な畑作りを目指しています。
 
4、ワイン産膜機構の解明とその応用
 貯蔵熟成中のワイン表面に酵母の皮膜が形成されるとワインの品質が劣化します。これは産膜現象と呼ばれ、産膜性酵母によって引き起こされます。私達は、酵母の産膜現象に細胞表層タンパク質であるFlo11pをコードするFLO11遺伝子が必須であることを、世界で初めて明らかにしました。
 
5、スーパー酵母プロジェクト
 酵母は糖分をエタノールや炭酸ガス、香り成分に効率良く変換できるため、パンやワイン、清酒、ビール等の製造に欠かせない、最も身近な微生物の一つです。また、地球温暖化の防止に有効なバイオマスからのエタノール生産や、医薬品の製造等にも用いられ、非常に重要です。私達は、変異処理等の方法で酵母の眠っている能力を目覚めさせ、新しい能力を発揮できるようなった様々な「スーパー酵母」を創る研究をしています。
 
▲ ページの先頭に戻る